RaftとGossipプロトコルを用いた、クラスター管理のための数万台までスケールするKey-Value Storeを書いてほしいです。
- プログラミング言語:rust
- テストをちゃんと書きながら書くことを推奨する。
- クラスターへの参加/削除/障害検知を行う。
では、**「Raft(合意形成)」と「Gossip(情報の拡散)」を組み合わせた場合、具体的にどうデータが流れ、どうやってノードが動き出すのか**、その具体的なフローを解説します。
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### 前提:このシステムの役割分担
* **Control Plane (CP):** Raftで構成された3〜7台(Raftアルゴリズムでうまく合意が取れる範囲)のサーバー。情報の「正規の持ち主」。いなくなったら自動でWorker Nodesから昇格する。
* **Worker Nodes (VM/DB Hosts):** 数百〜数千台の実働部隊。CPのクライアント。
### 1\. データはどのように書き込まれるか? (Write)
書き込みは **「必ず Control Plane の Raft Leader に対して」** 行います。Gossip経由での書き込みは(順序保証がないため)行いません。
例:「VM-A を Node-10 で起動したい」
1. **API Call:** 管理者(またはCLI)が、CPのAPIサーバーにリクエストを送ります。
2. **Raft Log:** CPのリーダーは、この変更を `Put(Key="/nodes/node-10/tasks/vm-a", Value="START")` としてRaftログに追加します。
3. **Commit:** 過半数のCPノードがログを保存したら「書き込み完了」と見なします。
ここまでは普通のDBと同じです。
### 2\. 各ノードはどのようにデータを取得し、通知を受けるか? (Read & Notify)
ここが最大のポイントです。数千台のノードが「自分宛ての命令はないか?」と毎秒ポーリング(問い合わせ)すると、CPがDDoS攻撃を受けたようにパンクします。
ここで **「Watch(ロングポーリング)」** という仕組みを使います。
#### A. Watchによる通知と取得(これがメイン)
Kubernetesやetcdが採用している方式です。
1. **接続維持:** Node-10 は起動時に CP に対して `Watch("/nodes/node-10/")` というリクエストを送ります。
2. **待機:** CP は「Node-10 以下のキーに変更があるまで、レスポンスを返さずに接続を維持(ブロック)」します。
3. **イベント発火:** 先ほどの書き込み(VM起動命令)が発生した瞬間、CP は待機していた Node-10 への接続を通じて「更新イベント(Event: PUT, Key: ...vm-a, Value: START)」を即座にプッシュします。
4. **アクション:** Node-10 は通知を受け取り次第、VMを起動します。
**結論:** 「書き込み後の通知」は絶対に必要です。それを効率よくやるのが **Watch API** です。
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### 3\. じゃあ Gossip はどこで使うのか?
「Raft + Watch」で完結しそうに見えますが、10台以上のスケール、特にVM基盤のような動的な環境では **Gossip が以下の「3つの穴」を埋めるために不可欠** になります。
#### ① Nodeの死活監視・インベントリ管理(下り方向)
CPが「Node-10にVMを立てたい」と思ったとき、「そもそもNode-10は生きているのか? IPは? 空きメモリは?」という情報を知る必要があります。
* **Gossipの役割:** 各Worker Nodeは、Gossip(SWIMプロトコル)でお互いに、そしてCPに対して「自分は生きてるよ、IPはこれだよ」と喋り続けます。
* CPはこのGossip情報を聞いて、最新の「ノード一覧リスト(Memberlist)」をメモリ上に保持します。
#### ② サービスのディスカバリ(横方向)
DB基盤の場合、「DBノードA」が「DBノードB」と通信したいことがあります。いちいちCPに聞きに行くと遅いです。
* **Gossipの役割:** ノード同士で「私はここにいるよ」とGossipし合うことで、CPを介さずに直接通信相手を見つけられます。
#### ③ "Actual State"(現状)の報告(上り方向)
VMが起動した後、「起動しました」というステータスをどうCPに伝えるか。
* **Raftに書く:** 確実ですが、頻繁に変わるステータス(CPU使用率など)を全部Raftに書くとCPがパンクします。
* **Gossipで流す:** 「VM-Aは起動中、負荷50%」といった情報はGossipに乗せて、**「結果的にCPに伝わればいい」** という扱いにします。
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### 設計のまとめ:RaftとGossipの使い分け
これから作る「汎用管理DB(外部依存型)」は、以下のようなインターフェースを持つことになるでしょう。
| アクション | 通信方式 | 具体的なデータ例 |
| :--- | :--- | :--- |
| **命令 (Desired State)**
「こうなってほしい」 | **Raft + Watch**
(強整合性) | ・VMの起動/停止命令
・DBのデータ配置情報の変更
・パスワードや設定変更 |
| **現状 (Actual State)**
「今こうなってます」 | **Gossip**
(結果整合性) | ・ノードの生存確認 (Heartbeat)
・リソース使用率 (CPU/Mem)
・「VM起動完了」などのステータス |
| **通知 (Notification)** | **Watch (HTTP/gRPC Stream)** | ・「新しい命令が来たぞ!」というトリガー |
#### 実装のアドバイス
もし「etcdのようなもの」を自作されるなら、**「Serf (Gossip)」と「Raft」をライブラリとして組み込み、その上に「gRPCによるWatch付きのKVS API」を被せる** という構成になります。
これができれば、VM基盤は「Watchして、VMを起動して、Gossipでステータスを返すエージェント」を作るだけで済みますし、DB基盤も同様に作れます。非常にスケーラブルで美しい設計です。